フルSOLID設計とハイブリッド設計について
フルSOLID設計とハイブリッド設計について
フルSOLID設計 | ハイブリッド設計 |
登録部品・パラメトリックを利用して配置・変更を行い進める設計手法。加工属性を利用し図面レスを図る。 | 登録部品を利用して投影図を作成する。2D図面と3Dデータの両方を作成して進める設計手法。 |
理想の姿はフルSOLID設計 |
金型を構成する部品をすべて3D SOLIDデータにて表現する設計手法。登録部品とパラメトリック機能を利用して配置・編集を行い進め、各種属性を利用して図面レス化を目指す。
<メリット>
●パラメトリック編集により作図のやり直し工数が削減できる。
●視認性が向上し理解し易い。
●3Dデータ間での干渉等のチェックが容易にできる。
●登録部品には設計要件(MAX値等)が付与されているため、部品側から設計者をサポートできる。
●加工属性を利用する事によりCAMデータの自動作成が行える。
●部品属性を利用する事で部品表作成時の人的ミスを防ぐ事が出来る。
・・・とメリットいっぱいですが、フルSOLID設計を進める場合以下内容の問題点が生じます。
<デメリット>
●限られた設計期間でフルSOLID設計を進めようとするとシステムに組み込まれた標準部品だけでは部品が足らなかったり規格に合わなかったりで、 あらかじめユーザー部品として登録しなければならず、この登録に膨大な時間(費用)が掛かる。(通常の業務と並行してはなかなか進まない)
●加工サイドと可能な限りの図面レスへの取り決めがされていないと、3D設計後の加工用図面の作成により、トータル工数でメリットが減ってしまう。
いいとこ取りハイブリッド設計 |
社内体制・人的・コスト的な問題ですぐにフルSOLID設計化は困難という場合でも、まずはパラメトリック機能のいいとこ取りで将来のフルSOLID設計化を目指してはどうでしょうか?
フルSOLID設計化を目指し、あらかじめスムーズにフルSOLID設計を行おうとすると事前の部品登録に膨大な工数を要します。 ましてや加工サイドとの調整もあり、無理だとあきらめてしまう前にこんな進め方を検討してみてください。
①モールドベースの基本形を作成する。(標準モールドベースでも可能)
②繰り返し使用が予想される主要構造部品(例えば、スライドコア、傾斜コア、直押出コア等)にターゲットを絞って部品登録を行う。
③モールドベースを呼び出し、製品3Dデータをレイアウトする。(製品の大きさに応じてモールドベースをパラメトリックにより変形させる)
④主要部品(登録部品)を配置しサイズ調整を行う。(型構想部をパラメトリック設計するという発想です)
⑤ドラフティング機能により3Dデータとリンクした2Dの平面図&断面図を作成する。
⑥ドラフティングで作成した2Dデータをコピー&非パラ化(3D形状にリンクしていない状態)して別の型図面用2Dデータに貼り付ける。
⑦ここからは通常の2D設計と同じ。
⑧3D SOLID設計に関連の無い部位については2Dにて設計を順次進め、3D SOLID設計をした部位についての変更は3D SOLIDデータに戻りパラメトリック 変形させ3Dデータとリンクした2次元データを更新する。
⑨再度コピー&非パラ化し、型図面用2Dデータに貼り付ける。
⑩この状態で基本構造部3Dデータと2D図面データが整合された状態となるため、モデリンググループは型構造設計グループが作成した3Dデータを利用して、 詳細な3Dモデリングを進める。
⑪後はフルSOLID設計への移行を目標に、徐々に登録部品を拡充する。
(左画像)主要機構部品をパラメトリック3Dデータにて配置検討
(右画像)3Dデータを2D化(2次元図面への中継用データ)ハイブリッド設計で、2Dも3Dデータと連動する
修正部は、3Dに戻り修正・再度取込み。ハイブリッド設計なので、3Dデータを修正すると、関連部分はすべて追従して修正されるのでラクラク。その他の部分を追加で書込み図面を完成させる。
ユーザー定義部品について |
フルSOLID設計、ハイブリッド設計を行うには事前にユーザー定義部品の登録が必要となります。
ユーザー定義部品は通常の3Dデータ(非パラメトリック)とは違い、基本的にパラメトリックで作成するため寸法や部品属性、加工属性などの様々な情報を持っています。
この情報が設計時に様々な利点を生むわけですが、逆に情報量が多いため部品の作成と登録作業には膨大な時間が必要になります。
その様なことでお困りのときは是非、弊社の部品提供サービスのご利用をご検討下さい。